
8月5日(火曜日)からジュネーブで続いていた、プラスチック汚染に対処する国際条約づくりの政府間交渉会合は15日、合意を見送り閉幕した。再開会合の期日は未定。
前記事で書いたように、プラ汚染根絶のための法的拘束力のある国際条約を24年末までに作ることが2022年の国連環境総会で決議された。条約が実現すれば、環境分野では「生物多様性保全」「地球温暖化防止」に続く大型条約となり、社会生活や産業に多大な変化をもたらす。
今回も最大の争点はプラスチック生産段階の規制で、原料の石油を産出する産油国側が強く抵抗。予定より会議を一日延長し、健康リスクのあるプラ製品の段階的廃止を選択肢に盛り込むなどした何度目かの議長修正案が出たが、各国から賛同は得られなかった。
化石燃料と化学産業のロビイストの数は、前会合より14人多い、234人。欧州連合(EU)の27加盟国およびEU代表団の合計233人を上回る。
グリーンピースの活動家たちはジュネーブの国連欧州本部前で「プラスチック条約は売り物ではない(Plastics Treaty Not for Sale)」と書かれた横断幕を掲げ、プラスチック汚染防止条約に対する石油業界の影響力を非難した。
合意断念は2024年の釜山交渉委から2回連続。国際ガバナンスの拠点ジュネーブと多国間主義にとっては新たな打撃となった。






